その瞳に写る頃


「くそっ」

教室に戻った直後、わたしは自分の机を殴った。

拳の中にはなんの変哲もない消しゴムが入っている。

幻のデザートの代わりに、いつ紛失しても不思議でない大きさにまでなってしまった消しゴムの生まれ変わりを買ってきたのだ。


「なんで……。なんで、あんなに早く行ったのに……」

「まあまあ、何百人も生徒がいる学校で一日に二十個しか売らないおばちゃんの意地が悪いんだよ」

「わたしの走りが遅いからか……百メートル走のタイムが決まって二十秒超えだからか……?

そうなんだろう……きっと。いやもはや、そうであることを望む自分さえいる……」

ショウゾウの言葉も聞き流し、わたしは言葉を並べた。

くそっ、と再度机に拳を落とす。

「いいじゃん、どうせわたしだって買えてないんだし」

ショウゾウは「タケモリはどうだったんだろう?」と彼の席がある窓の方を見たが、「いない」と呟きこちらを向き直った。

「さては、今回はあいつでも買えなかったな?」