非常に小さなその帽子のつばには、縁取るように丸いものが付けられている。ビーズかなにかだろうか。
帽子の下方、机の少し奥を描いた方を見ると、「あっ」と微かに声が出た。
小人の少女がコルクボードに刺さった画鋲の上を歩いていたのだ。
気をつけてねと聞こえない声で小人の少女へ告げ、隣のページへ目をやった。
今までと同じ手が、裁縫道具とともに今度は小さなズボンを持っていた。濃いめに色を塗られたそれはショートパンツのようだ。
小人の少女はその手首を飾る太めのヘアゴムの上におり、手の主を振り返り、前方を指で示し口を開いている。
なにかズボンにしてほしいことがあるのだろうか、とわたしは想像する。
次のページには、それまで手が持っていた、ティーシャツと帽子、ショートパンツを着用した少女が描かれていた。ティーシャツの向かって右側の胸元には、机にあった花が付いていた。
小人の少女はティーシャツの下方を両手で伸ばし、大きな目でいささか不満げに上目遣いにこちらを見ている。
好みでなかったのだろうかと思ったが、彼女は隣のページでは、時代を感じる形の携帯電話の画面越しに楽しそうにポーズを取っていた。
度々登場していた手は、その携帯電話を右手に持ち、親指で縦四つ横三つの計十二個のボタンの上、主に決定に使うボタンに触れている。



