その瞳に写る頃


わたしの学校生活は、退屈、笑い、戦いの要素でできている。

退屈な授業を乗り切り、休み時間にはショウゾウと笑い合い、昼休みには全校生徒の過半数との戦いがある。

昼休みの戦いの種は購買部にある。

購買部では、一日二十個限定で「おばちゃん特製デザート」が売られる。

通称幻のデザート、値段は百二十円だ。

その味は、過去に何度か入手経験があるために調子に乗っている同じクラスの男子生徒、

タケモリこと竹森(たけのもり)曰く、「何味かと問われると答えられないが半端じゃなくうまい」らしい。

わたしとショウゾウは、その幻のデザートを一度も手に入れたことがない。

予約不可の一日二十個限定、学年やクラスを問わず誰でも購入可能な商品なのだから、むしろ入手経験がない方が普通だ。

タケモリが異常なのである。


異常男子生徒、タケモリに、「お前らまた買えなかったのか? まあ精々頑張れや」と笑われてから早くも一週間が経過している。

その一週間のうち、タケモリは三度も幻のデザートを入手したのに対し、わたしたちのもとには一度もそのチャンスは訪れなかった。