その瞳に写る頃


「どういうこと?」

半ば無意識に言った。

ショウゾウは壁の方を向いてわたしの机に寄りかかり、再度腕を組むと小さな声で言葉を並べた。

「高本くんってなんか変わってない? 加えてなんか冷たそうだし、なに考えてるかわからないっていうか。誰かと喋ったりしてるところも見たことないし」

「あっ、やっぱりショウゾウも見たことない? 高本くんが誰かと話してるところ」

一度もね、とショウゾウは小さく頷いた。

「去年同じクラスだった……」

少しの沈黙のあと、「林檎博士」と飛び出し、「ほう」と頷く。

「林檎博士が高本くんと中学校が同じだったらしいんだけど、当時からあんな感じらしいよ? 誰とも喋らず、ノートと筆記用具がお友達状態。

でまた、林檎博士は中学校では一年生のときに高本くんと同じクラスだったらしいんだけど、席は必ず前方だったって。

一部の人からは、前方の席が好きな変わり者として見られてたってさ。視力はいいらしいのになんでだろうって林檎博士は当時の友達と話してたって」

「ふうん……」

「ね? なんか彼氏にはしない方がよさそうな感じむくむくしてきたでしょ? 冷たくてこだわりの強い変わり者。ねえ……」

「うーん……」

わたしが曖昧に頷いた直後、担任が教室に入ってきた。

わたしとショウゾウは「やばい」と声を揃え、荷物の片付けを始めた。