その瞳に写る頃


冷蔵庫の扉に手をかけ、開ける前に「ああそうだ」と言った。

「冷蔵庫の中、ぶどうジュースとスポーツドリンクがあったけど、どっち飲んでいい?」

「どっちでもいいけど……早く消費したほうがいいのはぶどうだよね」

「了解」

わたしは冷蔵庫の扉を開け、素早くぶどうジュースのパックを取り出し、直後に扉を閉めた。

「完璧」と母の声が聞こえる。

「そんなことより、たまごはんそろそろ返した方がよくない?」

わたしが言うと、母は慌てたようにたまごはんを返し、焼き具合を確認してガスを止めた。

慣れた手つきでたまごはんを皿に盛り、フライパンとフライ返しを洗う。

わたしはそばのかごからそっとグラスを取り、注いだぶどうジュースを飲み干し、シンクにグラスを置いた。

母に軽く水でゆすがれて返ってきた。

「もっと丁寧に洗ってよ」

「どうせご飯食べながら飲むでしょう」

母はフライパンとフライ返しを片付け、皿をお盆に載せ、わたしを台所から追い出すように手を動かした。