「だ、誰なんだよ!おい!お前が呼んだのか!!?」
清都はビビりながら依奈に向かって吠えるが、依奈は無反応。目の前にいる恐怖に固まっていた。
「お、おい!てめぇ!なんとか言ったら」
清都が弱気になっていると、目玉はフッと奥へ消えて、タンスが一人でに勢いよく閉まった。そして、依奈の部屋と同じようにタンスはガタガタと大きく震え始め、この部屋全体が震えているようにも思える程大きかった。
「な、なんだよ一体よぉ!!意味わかんねぇぞコラぁ!!ふざけんなよクソが!!」
清都は怒りの声をあげるが、その発言とは裏腹に背を向けて部屋を出た。それに気付いた来希は足をガクガク震わせながら清都の後を追った。
二人が消えてもまだその振動は治まらず、依奈は痛みに耐えながら立ち上がり、生まれたての子鹿のような足取りで動けなくなった佐々木に近寄った。
「さ、佐々木....さん...早く、ここから出よ....」
佐々木は依奈の言葉にすがるように弱々しく頷き、二人はお互い支え合って部屋を出た。
そして自分達がいたのは、見た感じ空き家の敷地にあった古びた小屋の中だと外へ出て気が付く。
二人はそのままカタツムリのようなスピードのまま、公園に向かい、ベンチに腰を下ろした。