怨返し─赦されない私の罪─


すると、依奈の視界は一瞬にして変わった。
公園を見ていた筈が、急に横へスライドした事に依奈は驚愕した。
そして依奈は口を抑えられ、腰辺りを掴まれたまま、凄い力に引っ張られているのが数秒後に理解した。


「んん!!んんんんんん!!」


依奈は必死に抵抗するが、その力は弱まることを知らなかった。寧ろ力は更に強まり、凄い勢いでズルズルと依奈は移動されてしまう。

依奈はわけも分からないまま抵抗を続けていると、後ろへ投げられ、肘を床へぶつけて倒れた。


「い、痛....」


目を開くと、また薄暗い場所にいた。だが、さっきの裏路地とは違って生臭さではなく、ホコリ臭かった。
光は消える灯火の電球しかなく、その他の光はありそうも無かった。


「え?ど、どこ?ここ...」


「はぁ...暴れんなよクソが。疲れんじゃねぇか....」


見覚えのある声、忘れるはずもない声。依奈はその声に素早く反応し、発信源の方へ顔を向けた瞬間、バシッ!っという音と共に頬に鋭い痛みが走った。

依奈は叩かれた頬を触りながら、声の主を鋭く睨んだ。

声の主は清都だった。薄暗くても分かる金髪を輝かせながら片目は見開き、片目は睨んでいた。章太を自殺へと追い込んだ元凶の一人、依奈にとっては仇のような人物だ。