二人は帰り道をゆっくりと歩きながら談笑していた。何気ない会話、それが今の依奈にとってどれほどの救いだったか。依奈は時間を忘れる程有意義な時間だった。
「あっ、じゃあ私ここまでだから。」
「へ?あっ、うん。」
依奈と美苗はいつの間にか商店街にいた。商店街は依奈の家とカラオケ店のちょうど半分くらいの位置にあった。
こんだけ早く来たんなら...もっと会話したかったなぁ...
そんな事をしみじみと思っていると、美苗が顔を寄せ、人差し指を商店街の店と店の間の裏路地を指さした。
「あそこ...依奈の家までの近道なんだよ?知ってた?ここ商店街抜けたらそのままずっと真っ直ぐ行って曲がったら依奈の家じゃん?
この間の道を右左右左って行けば、そのまま真っ直ぐっていうか?少し斜め気味に道が続くから、そのまま行けば....名前なんだっけ?...あっ、そうだ!風野公園だ!」
「風野公園って....家のすぐ上の方にある?」
「そうそう!家の位置教えて貰って「あれ?」って思ったんだよね。小さい頃、商店街でお使いした時、この道使って公園で友達と待ち合わせして遊んでたんだよね〜。」
「へ〜...そっか〜知らなかったなぁ〜。」
依奈はその道に吸い込まれるような感覚を覚えた。今まで知らない狭い道、探求心をくすぐられていた。



