「さ、佐々木さん....取り敢えず頭を上げ」
依奈は佐々木の肩に片手を置いて、頭を上げさせようと少し腰を浮かすと、佐々木は顔を涙でグチャグチャにしながら依奈の両肩を強く握った。
「怖かったんです!!私の名前が出かかった時、佳川君が受けてた事が全て降り注ぐ...女子だから辱めも受ける....たった一回の出来事で私の全てが壊れるのは本当に嫌なんです!!ねぇ千澤さん!お願い!もし、千澤さんからターゲットが移るなら、どうにかして私をあいつらの目から外して!!お願い!お願い....お願いします....うぅぅ....」
依奈の両肩からするすると手を落とし、机に泣き崩れた。佐々木の必死さ、壊れ掛けているのがすごく伝わり、依奈は心が痛くなった。
すると、二人に聞こえるように大きなため息を美苗は吐いた。すごくつまらなそうな目をして、泣き崩れる佐々木を睨み付けた。
「....わざわざ話があるって言うもんだから、どんな内容かと思ったら...ふざけてんじゃないわよ!!あんた!結局は自分が助かりたいだけじゃない!!依奈が壊れる前提の話してんじゃないよ!!」
美苗が怒鳴ると、佐々木は涙を流しながら美苗に憎しんでいるような目を向けた。
「第三者だからそんなこと言えるんですよ....自分に危機が及んでないからそんな事を堂々と言えるんです!!あなたに分かりますか!?もう私には死神の手が喉元まで来てるんです!!見てるだけの傍観者は黙ってて下さい!!」



