怨返し─赦されない私の罪─


その人物は佐々木 祐子。自分がターゲットになりかけた事を知って怯えていた女子生徒だった。


「さ、佐々木さんが私に話が?」


「あるみたいだよ?依奈ってば学校に来ないもんだから、私に言われてね。
あっ、祐子さん。話す前に一曲歌う?折角来たんだからさ。」


「....大丈夫です。すぐ話は終わるので...」


佐々木は美苗の誘いを断ると、依奈と顔が向かい合うよう、対格に座った。
美苗は気を使ったのか、二人の会話の邪魔にならないように端へと移動した。

佐々木はジッと依奈の目を見て、依奈がそれに戸惑っていると、数秒後に佐々木は頭を下げた。


「え?さ、佐々木さん?」


「お願いします....千澤さん...千澤さんの次のターゲットに私を選ばれないようにしてください....」


佐々木は頭を下げながら震える声で喋った。身体もブルブルと小刻みに震わし、涙が落ちる音すら聞こえる。


「私....本当に嫌なんです。もし、ターゲットにされたら私の全てが壊れる....今まで築き上げた人間関係を失いたくない....見放されたくないんです....
わ、私は...ただ普通に学生生活を送りたいんです...トラブルに巻き込まれないで、普通に友達と喋ったり遊んだり....彼氏とかも作りたい....なのに、たった一回ターゲットにされるだけで壊れるなんて....本当に嫌なんです。」