美苗はマイクを置いて、その手を全力で左右に振る。
「いやいやいやいや!そんなのありえない事だって!あそこ姫夜女学園だよ?あんな所とこれ以上関わったら食われちゃうよ〜。」
「姫夜女学園....?お嬢様学校で有名な?」
「そうそう!言葉使いやら仕草まで教育されるところ!だから、普通学校の私達を見下しているみたい。「自分達は気品で偉いのよ?」みたいな貴族風を漂わせるんだよね。」
「それに食べられちゃうってどういうこと?人食べてるの?」
「んなわけないじゃん。噂に聴けば女学園だからレズが多いらしいよ。本当にお嬢様になりたい人と、親の無理矢理、んで女の子目的で入ってるって感じで別れてるらしいよ。」
黒い女子生徒達の正体は分かったが、依奈のモヤモヤは何故か消えなかった。どこかで見たはずなのに思い出せないのがもどかしかった。
すると、美苗のスマホの通知音がし、操作するとそっとマイクを置いた。
「あっ、依奈〜。話がある人がもう来るから、歌うのは話が終わってからね〜。」
「あっ、うん。分かった。」
今から来る人が誰なのか分からないので、どこかドキドキしながら待っていること数十秒後、ドアがゆっくりと開いた。
部屋にゆっくりと入ってきた人物に依奈は見覚えがあった。



