怨返し─赦されない私の罪─



二人はカラオケの高テンションのまま、足を浮かしながらトイレへ向かった。


こんなに楽しんだのはいつぶりだったんだろ?....章ちゃんとの毎日は楽しかったけど、前まで心が折れてからのこれだからギャップが凄いし疲れた....でも、凄い楽しいな....
いいのかな?こんなに楽しんじゃって....


そんな事を心の中で呟いていると、女子トイレ前で急に目の前に人影が出てきて、依奈はそれにぶつかってしまった。


「痛っ!あっ、す、すいません。」


ぺこりと頭を下げる依奈に対して、相手は無言だった。

全身真っ黒の制服を身につけた数人の女子生徒がジッと依奈と美苗を見つめる。まるでゴミや家畜を見るかのような見下した目に、依奈はぶるっと震えた。

でも、どこかでこの制服に見覚えがあると依奈は感じていると、黒い女子生徒達はそのまま通り過ぎた。


「これだから愚図は....」


通り過ぎた時、その黒い女子生徒の一人がそう呟く。その言葉は楽しく踊っていた心を停止させ、傷付けた。

そのまま黒い女子生徒達は廊下の奥の部屋に入る。彼女達もまたカラオケで歌いに来たのだった。

依奈はふーと溜め息を吐き、ジッと黒い女子生徒達が入った部屋を見つめている美苗に謝った。