美苗はマイクを片手に早くも機械を触っていた。
依奈はちょっとしたため息を吐きこぼすと、ゆっくりとソファーに座った。
「ねぇ美苗。そんなに私が心配?」
依奈の言葉を聞いた途端、美苗の早送り再生のような動きがピタリと止まった。もごもごと口を動かし、言いずらそうにしていた。
「...だって....章太君は死んじゃって...おまけに京吾君達に目を付けられて....心配しない方がおかしいよ。
だから、今日学校休もうとしたんでしょ?辛かったから....」
「....確かに辛いよ。思い出す度に胸が苦しくなる。だけど、私は大丈夫だから。私にそんなへこたれてる権利なんてないんだから....」
「それだったらなんで今日は休もうとしたの?もしかして重信先生と何か関わってるの?」
「そんなんじゃないよ。そんなんじゃ....」
依奈は出かかった言葉を飲み込んだ。美苗に昨夜の事を言った所で信じてくれるとは到底思えなかった。そして、今の依奈にとって美苗は唯一の友達であり、信頼出来る人物である。
依奈は話して遠ざかれ、一人になることを恐れていた。
そんな依奈の気持ちとは裏腹に、美苗は依奈の隣に座り、目をじっと見ながら話しかけた。
「言って。私、依奈の力になりたいの。私達友達でしょ?私は依奈が困ってる時は手を差し伸べたいし、逆に私が困ってる時は手を差し伸べてもらいたい。



