部屋に入り、制服を脱いでパジャマ姿になりベットに座ってスマホを操作するが、頭に何も入ってこない。
自分が招いた結果、あの目を背けたくなる光景が依奈にとっては辛すぎた。
私....何で生きてるんだろ?何で章ちゃんも善子さんも私のせいで死んだのに、私だけ生きてる。
そもそも私に生きてる権利なんてないよね...死ぬのはあの三人じゃない。私なんだ。
空っぽの頭の中でふと思いつき、依奈はすぐに実行した。ベルトを手に取り、カーテンレールに括りつけ、足が地面に付かないぐらいにベルトの長さを調節した。
椅子でベルトの目の前に移動し、ゆっくりとベルトを首に括りつけた。別に恐怖は無かった。それほどに依奈の心は何も色のない無色透明だった。
依奈は椅子を後ろに蹴り落とし、重力に身を任せ、一気に落ちる。
首に激痛が走ると呼吸は一切出来なかった。身体は宙を浮き、ユラユラと身体を揺らした。
凄まじい苦痛が依奈を襲ったが、依奈は"もう少しの辛抱"と思って我慢した。その我慢は実際には数秒しか経っていないのに、依奈の感覚では何分にも思えた。
まだ死なないのかという不安と激痛、遂に依奈は本能的に宙に浮きながら暴れた。
必死に喉元に手をやって空間を作ろうとし、身体を左右に大きく振った。



