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依奈が自分の部屋でゆっくりと落ち着けたのは夜九時を過ぎていた。
学校を終えて、すぐに母親と一緒に章太の家へ向かったのだ。

章太の家では章太の親戚が頭を抱えながら話し合っていた。
二日で二人とも亡くなり、親戚の中では酷く混乱していた。

依奈達が到着したことを親戚の中の一人、白髪のおばさんが見つけると泣きそうな顔をして依奈の母親に抱き着いた。


「ごめんねぇ花梨ちゃん...娘がこんな....」


「...志都美さん。謝らないで下さい...善子を...私は支えてあげれなかった...
本当にごめんなさい...私のせいです。すいません...」


依奈の母親、花梨は涙を流しながら、志都美に土下座して謝った。ブルブルと震えながら、何度も何度も額を床につけた。
志都美は慌てて花梨の肩を掴んで辞めさせようとするが、それでも花梨はやめなかった。


「やめて花梨ちゃん...あなたは何も悪くない。やめて頂戴....」


「私が...私が悪いんです...友達なのに...仕事より家事より何より優先するべきだったんです...善子は苦しかったのに...私は本当に何も....」


この状況に気が付いた親戚の人はその場に駆け寄り、花梨に頭を下げさせるのをやめさせた。