もう依奈に関わらないこと、それが他の生徒に出来る最大限のことだった。
だが、それでも美苗は依奈を守ってくれた。依奈は悔しさと嬉しさが混ざって、更に涙を流す。



「ううぅ...ありがとう....美苗ぁ...」


「何よ?当然のことしただけなんだからお礼する必要ないよ?私達友達じゃん。私は友達を見捨ててまで黙ってることはしたくないしさ。」


美苗の一言は依奈の心にグサッと刺さる。きっと今の自分が昔の自分や美苗だったら章太を助けられたかもしれない。だけど、それが自分には出来なかった、依奈はそんな弱い自分を呪い、美苗の胸元に顔を寄せて泣いた。


「ほらほら泣かないで?もうすぐ朝のHRが始まっちゃう。それにここの騒動が広まったら、依奈標的されちゃうかもしれないし、報復もされちゃうかもしれないからさ。」


「でも私...こんな弱い自分が....本当に嫌で...」


「依奈は弱くないよ。京吾君や清都君にすら向かってたんだもん。私はイザって時にしか動けなかったけど、依奈は違う。自分から動くのは凄い勇気がいることなんだよ?
ほら、これで涙拭いて。」


美苗はハンカチを依奈に渡した。依奈は言われたままにハンカチを使って涙を拭いた。その美苗の優しさで心がグッと来るが、依奈は何とか溢れる感情を抑えた。