昨日の出来事は忘れていないし、善子の印象がだいぶ変わってしまったのは事実だが、依奈を動かすには昔の思い出で十分だった。

章太と善子を失い、依奈には京吾達の怖さが一瞬ながらも忘れていた。


「善子さんはただ章ちゃんが元気でいて欲しかっただけなのに...あんた達に二人も人生を変える権利なんてない!!あるわけがない!!」


「は?てめぇ聞いてねぇのか?あのババアは俺達を殺そうとしたんだぜ?それで京吾も今は病院だ。自己防衛だろうが。」


「自己防衛じゃなくて自業自得でしょ!?あんた達が章ちゃんに手を出さなければこんな事にはならなかった!それに、善子さんを殺して助かるような器じゃない!自分のしたことを認めてさっさと死ねばよかったのよ!!」


「っ!てめぇ...京吾が居ないからって....」


右目の瞼をピクピクと痙攣させた清都は依奈に言葉ではなくビンタで答えた。
依奈は後ろの机を巻き添えに倒れた。


「いい加減なこと抜かしてんじゃねぇぞ!!人の器測れる程お前は偉いのか!?章太を裏切ったお前がよ!!
あぁ!!もうキレた!次のターゲットはてめぇだ!京吾に話付けといてやる!!」


「は?何勝手に決めてんだ?俺は佐々」


「うるせぇ!俺はもう譲らねぇぞ!?そんなにしたかったら個人的にすんだな!
見せしめにでもやらねぇとなぁ?俺達に歯向かったらどうなるか...」