意識は朦朧としていた。善子は後悔で心がいっぱいだった。
息子の仇をとるつもりが、反撃されてしまった。そして最後の京吾の言葉が悔しくて悔しくて、善子は涙と血が交わった液体がコンクリートの上を広がっていくのを心無しに見ていた。

すると、視界端で二本の足が見えた。京吾の方へは行かず自分の方へ来ているのだ。
その足は驚く程に細くて白く、生気は感じられなかった。

善子は最後の力を振り絞って、目をその足からなぞるように上の方へ見ていく。

顔を見た時、善子は驚愕し、閉じかけた目を見開いた。涙と鼻水を垂らしながら、その人物に向かって手を伸ばした。


「しょ...章.......太ぁ......」


善子はその直後、電気を消すかのように意識はすぐに途切れた。

善子は暗闇に入る前に光を見た。