「なんだ?あの女...すんげぇフラフラじゃん。」


「うっわ、髪ボッサボサ。怖ぇ〜幽霊みたいじゃん。もしかしてヤク中かな?」


その女性はコンビニというよりも三人に向かってきていると京吾だけが感じ取り、顔を険しくする。

女性は三人にある程度近づくと、ピタリと止まった。その異様な行動に、流石の二人も息を呑んだ。

何も進展しないで数十秒、京吾は苛立って立ち上がり、女性に声をかけた。


「おい、何の真似だ?うぜぇからさっさと.....」


ここで京吾は言葉が止まった。その止まった原因は二人にもすぐ理解した。
女性は右手に包丁を持っていた。コンビニの光に照らされ、ぴかっと反射をする綺麗な包丁を。
そして、京吾が言葉を止めた直後、女性は京吾の腹元へ潜り込み、その包丁を京吾の腹に刺した。


この女性の行動に来希と清都の二人は完全に止まってしまい、一瞬時が止まったかのように感じた。
女性は腹に刺した包丁を更に奥へと押し込み、京吾は口から血を吐いた。


「ゴブッ...このクソ女がぁ...」


「こんなもんじゃない...あの子の受けた痛みは...」


その声に京吾は聞き覚えがあった。そしてその答えはすぐに分かった。
章太の母親、善子だった。京吾は章太がズル休みをした時、友達と称して章太の家に訪ねたのだった。