だが、清々しい顔とは裏腹に依奈の内心は荒れていた。


ああああああああ!!付き合えないぃぃぃぃ!!告白されてるから付き合えない訳では無いけど、無理だァァァァ!!


依奈は大きなため息を吐くと、近くのベンチに座り込み、頭を抱えた。


章ちゃんに宣言してから三年...チャンスはいっぱいある....だけど、どうしても章ちゃんの顔が思い出して踏み出せない!あんなに堂々と言ったくせに進歩がないのはどういうことよ私!


「はぁ〜言えないよね〜。三年前に死んじゃった男の子が忘れられないって...
重いよね〜....絶対に重い女って思われる...
空の上の章ちゃんも絶対に苦笑いだって....」


心の声がポロポロと言葉になって出てきて、依奈は自問自答を繰り返していた。
ふと、腕時計の時刻を見て依奈は焦った。


「うわ!やば!もうこんな時間!?急がなきゃ!」


依奈はすぐに立ち上がり、大学を後にした。


走る事二十分、依奈は喫茶店に入店した。荒い息を整えながら店内をジックリ見回すと、四人席で座っている女性が依奈をジッと見ていた。

長い髪の毛にキラキラと光るピアスをぶら下げ、紺色のニットを着用していた。例えるなら大人の女性、色気があって女でも見惚れてしまうような女性は依奈に向かって手招きをした。

依奈はその女性の元へ駆け寄り、正面に座ると鞄を隣の椅子に置いて、女性の目の前で両手を合した。