「お願いします!俺と付き合って下さい!」


男性がそう言うと、女性は嬉しそうな表情を見せるも、少し言いづらそうな顔をした。後ろに束ねている髪を揺らし、綺麗な色をした唇を人差し指で触りながら、空を見上げながら「あー」っと小さく声を漏らしていた。

心が決まったのか、その女性は男性と握手をすることはなく、頭を下げ返した。


「ごめん!今藤君とは付き合えない。」


今藤はガッカリした表情を見せながら頭をあげる。今藤は二人の目から見ても中々にイケている男だったため、二人は目を見開いた。


「えぇ?....マジか....な、なんでなのかな?理由だけでも教えてくれない?俺のどこが悪かった?」


「あっ、いや...別に悪いことはないんだけど....なんて言うのかな...」


告白された女性は手をパタパタさせながら困り果てていると、今藤は目に涙を浮かべながら唾を飲み込んだ。


「...もしかして...俺以外に好きなやつが...」


「あっ....えっと....」


返答に困っている女性を見て、今藤は涙を流しながら走り去って行った。女性は引き留めようと手を伸ばすが、後を追わないで小さくため息を吐いた。

その状況を見ていた男二人はニヤニヤしていた。他人の不幸は蜜の味とはまさにこの事だった。


「うわ〜フラれちゃったよあいつ....辛いだろうな〜」


「まぁそうだろうな〜。俺だったらもう一週間は立ち直れねぇ。」