怨返し─赦されない私の罪─



だが、依奈を解放してくれ、その後ろにいた警官も動き出し、不良達を相手に次々に正義の手錠をかけていった。


そこで隅っこにいてどうすることも出来ていなかった美苗は、一人になった依奈の姿を見逃さなかった。

警官と不良との攻防を避け、依奈の目の前まで来ると、ポケットからバタフライナイフを取り出した。


「はぁ...はぁ....どうせ捕まんなら...あんたを殺してやるよ依奈....さっさと死ね!」


美苗は依奈との距離を縮めた。依奈は縛られていたのが影響し、足が痺れて動けなかった。
絶体絶命と思ったその時、静華が依奈の目の前に立ち塞がった。目の前のバタフライナイフが見えているのにも関わらず、静華は冷静な顔つきだった。


「静華〜あんたも殺してやるよ...依奈と死ねれば問題ないっしょ?」


「えぇそうね。だけど、今はその時じゃないし、あなた....いえ、あなた達には借りが出来ちゃったからまとめて返すわ。」


静華は何も持っておらず、素手でバタフライナイフに対応しようとしていた。美苗は武器という安心感の塊を握りしめてニヤッと笑い、依奈は青ざめた。


「静華!逃げて!殺されちゃう!」


「もう遅いから!享吾を奪った責任!きっちり払ってよね!」