怨返し─赦されない私の罪─


「私は依奈の代わりになるつもりも金を払うつもりもない。あんな土下座、警察が来るまでの時間稼ぎに決まってるじゃない。こんな薄いカモフラージュに引っかかるとは思わなかったわ。」


「ちっ!てめぇら!さっさと逃げろ!捕まんじゃねぇぞオラぁ!」


竜はそう呼びかけると、不良達は一斉に扉の方へ走っていった。すると、監視役をいつの間にか捕らえたのか、別のスーツの男が立ちはだかり、手錠をぶらさげて見せつけた。



「っ!あれは....病院にいた...」


「お前ら!逃げても無駄だ!麻薬所持及び使用、暴行に監禁、これまでの犯行を数えると頭が痛くなるが、お前らを一斉検挙する!」



「馬鹿が!こっちには人質が」


竜は振り返って依奈を見ると、依奈は既に別の警官に解放されていた。そして、その後ろにも何人かの警官がいた。


「んだと....クソっ!」


「お前らは包囲されてる!痛い目見たくなれば投降しろ!」


「んなのするかボケ!てめぇら!何ぼさっとしてる!無理矢理にでも逃げんぞ!」


不良達は怒り声を上げながら扉の方へ向かっていく。すると、そこからゾロゾロと警官が流れ込み、乱闘のような状況へ化していった。
竜も雄叫びをあげるとその乱闘に混ざり、出口を目指して拳を振るいながら走った。


そこで何人かの不良が依奈を捕まえようとした。人質がいないと脱出できないと考えたのだろう。