善子は依奈を睨みつけながらそう質問する。先程の影響と図星が重なり、依奈は何も言えず床を見ていた。
「フッ....やっぱりね....あの子が自殺なんてそれくらいしか思い付かなかった....
あの子はずっと苦しんでいた....なのに私はまた....あの子のイジメに気付けなかった....
情けない....母親として本当に失格よ....」
依奈は何も声を掛けられない。自分のした事が背中にまとわりつき、被害者である善子に何も出来なかった。
「...私がなんで章太を学校へ行かせることを許可したか分かる?小学生の頃、イジメられて学校へは行かせたくなかった。なのに何で行かせたと思う?」
「....章ちゃんは学校へ行きたがってた...からですか?」
「それもある...だけど、もう一つの理由はあなたがいたから。」
「わ、私が?どういうことですか?」
いきなり自分のことが出てきてドキッとすると、善子はゆっくりと立ち上がり、更に鋭い目付きで依奈を見た。
「もしイジメが起きても、あなたなら助けてくれる、もし自分から手を出せなくても周りに助けを求めてくれる、そう思ったからよ。章太の事を守っててくれたのはあなただったから....だから、もし学校へ行ってイジメがあったとしても、あなたなら立ち向かってくれると信じていた....



