「ねぇ竜さん...もう見てらんないんすけど....」
「あぁ...俺もだ....てめぇら何立ち止まってんだ!さっさとその女ボコすか犯すかどっちかしてやれ!!」
竜が怒鳴ると止まっていた二人の足が動き出した。二人との距離が縮まっていくが、静華は目を擦っているだけで動こうとはしなかった。
「っ!静華!何してるの!私はいいから早く逃げて!」
「...依奈、私は言ったでしょ?私はあなたのために身体を張りたいって。私はあなたを助けるためにここに来たのよ?」
不良二人の手が伸び、身体に触れようとする瞬間、静華の後ろの物陰から二人のスーツの男が飛び出した。
いきなりのことで対応できなかったのか、不良二人はすぐに床へ抑えられ、手錠をかけられた。
竜は目を丸くして、バッと立ち上がった。先程までの圧倒的優位な立場が崩落し、冷や汗をかき始めた。
「手錠だと!?....まさか...」
そう呟くと倉庫の正面の扉が勢いよく開いた。外の監視役の二人は慌てている様子だった。
「竜さん!サツがここに来てます!しかも結構な数っす!」
「んなの知ってんだよ!ザル監視しやがって!
....てめぇかクソ女...」
竜は恨めしそうに静華を睨むと、静華は見下すような目をして鼻で笑った。



