怨返し─赦されない私の罪─


床を踏む足の力が弱まると、自然に声も弱くなる。低いトーンが段々といつもの明るい依奈の喋り声になっていく。


「消えてよ....お願いだから...これ以上静華の顔を見たら....死にたく無くなっちゃうじゃん...」


依奈は涙と鼻水を流しながら静華を見つめる。静華は真剣な表情をしながら、目をうるうるとさせていた。


「ようやく死ぬ覚悟が決まったのに....罪滅ぼしの覚悟が決まったのに...生きちゃいけないのに....
生きたくなっちゃう....生きたくなっちゃうよぉ...」


「....まだ....まだどうしたいか聞いてない....依奈ぁ!あなたはどうしたいのぉ!?」


静華も涙声になりながら、依奈に声が届くように精一杯に叫んだ。依奈は床に涙の跡を作りながら、静華の問いに答えた。


「...生きたいよぉ....まだ死にたくないよぉぉ...楽しいこといっぱいしたい....静華とお買い物...したいのぉ....」


依奈は泣き崩れ、床に頭を当てた。依奈の綺麗な涙は床へ染み渡り、円を描いていく。
静華は大粒の涙を零しながら、ニコッと笑ってみせた。


「依奈の馬鹿...お買い物なんていくらでも付き合うわよ....」


二人のいい雰囲気に、あまりの不良達はやはり面白い展開ではなかった。竜も美苗も二人を睨み付けていた。
我慢できなかったのか、小柄な不良が群れから出てきて、歯ぎしりをしていた。