「ごめんね〜。このクソブスに今までの愚痴を吐いてたの〜。ね?」


美苗は依奈の顔に唾を吐いた。生暖かい唾液が頬を垂れても、依奈は何も抵抗しなかった。もはやどうでもいい、全てがどうでも良くなっていた。

竜は煙草の煙を消すと、依奈に近付いて髪の毛を引っ張り、無理矢理目線を合わせた。


「おい千澤。共犯者いるんだろ?言え。言わねぇのならお前の親、身内、友人関係のやつらも全員ぶっ殺す。」


依奈はそんな脅迫は左から右へと流されて行った。ここで適当なことを言っても言わなくても、こいつはとことんやると確信していた。
そして、自分の命が終わる時が近いが、依奈は生への執着は無かった。


章ちゃんの分まで生きるって決心したけど....もういいや...もう嫌だ。人に騙されて....弄ばれて....章ちゃんも善子さんも裕子もいないこの世の中で生きるのはあまりにも辛すぎる....


依奈は遠目になりながら、ポロポロと涙を零した。そんな依奈を見ても竜は表情変えず、更に険しくした。


「おい...てめぇ聞こえてんのか!?」


「....うるさいなぁ...聞こえてるよ....」


依奈のその態度に竜は怒りの限界が来ていた。依奈の頬を思い切り叩き、息を荒らしていた。依奈はもう頬の痛みさえリアクションを取らなくなった。それ程に依奈は精神的に病んでいた。