「分かるわけないでしょ!!?最愛の息子が死んだのよ!?
深夜帯になっても部屋の電気がつけっぱなしだったから、少し様子を見ようとしたら...あの子が首を吊ってた!
あの時の絶望感、分かるわけないでしょ!!」


依奈は善子の気迫に押され、無意識に後退りをした。


「あの子は私の全てだった!!あの子がいたから今日まで頑張ってこれたし、仕事も耐えれた!あの子と暮らして、面倒と思ったことは全くない。それ程私にとって大きな存在だった!
そんなあの子を失って...更にもうあの子は名前じゃあ呼ばれない。"死体"っていう三文字だけよ?佳川 章太じゃなくて死体で....まるで物みたいに...

なのに..."私の気持ちが分かる"?ふざけた事を言わないで!!!」


善子の口から流れるような言葉に、依奈は何も言えずただ聞いていた。もう依奈に善子を励ますという選択肢は無かった。

善子は息を荒らし、また椅子に座り込んだ。そして一言ボソッと....


「章太は....いじめられてたんでしょ?」


「....え?」


「質問に答えなさい。章太の自殺の原因はイジメでしょ?」