美苗は噛んでいたガムを依奈の頬目掛けて吐きつけた。
依奈は未だに信じられず、目を見開きっぱなしだった。
「いやぁ〜あんな手紙で本当に来るとは思わなかったよ。まじウケる!最っ高だねあんた!」
「え?あの手紙は....」
「お前を誘い込むわ罠に決まってんじゃん!お前、私に鍵の在処教えてくれたからこんなこと出来たんだよ?墓穴じゃん!あはははは!!」
今までの美苗のイメージが音を立てて崩れていく。清都からの暴力から守り、現実離れした話を真剣に聞いてくれて、助けてくれていた美苗の姿は崩れ去った。
「な、なんで...なんでこんなこと....」
「決まってんじゃん。あんたが享吾を殺したから....私はね、享吾の彼女なんだよ。」
「...え?」
「私は前から享吾の彼女だったんだよ。あんたと知り合うずっと前から。章太をイジメる時、章太が逃げないようにあんたに張り付いてたって訳。分かる?私はあんたなんかを友達だと思った瞬間は一度もない。
一緒に行動して、泣き虫なあんたを慰め、友達とか言い合うのは本当に気持ち悪かったわ〜。マジでストレス。マジで死ねよ!」
美苗は依奈に近付くと頬目がけて蹴った。
口の中は切れて、蹴られた衝撃で頭がチカチカした。
そんなことは知らず、美苗は喋り続けた。



