「....あの日からもう三日も経つのね。」


「うん、そうだね。私...裕子を守れなかった。裕子は私を助けようとしてくれたのに、あの時。私が裕子を置いてかずにいたら....」


「美苗がヤバくて事態が一刻を争ってた状況よ。こう言ってはあれだけど...あれは仕方がないことよ。」


浮かび上がる裕子の笑顔。依奈は少し目頭が熱くなるが、グッと堪えた。


「それにしても....静華はなんであの時、あの場所にいたの?」


「.......裕子から電話があったのよ。美苗が襲われているから手助けをして欲しいって。」


「葬式で手を引きたいって言ったのに、何で来てくれたの?」


「本当は行きたくなかったわ。やっぱり怖かったもの。でも、それ以上にあなた達を失うのが怖かった。それだけの事よ。
最も...その恐れていた事態は起こっちゃった訳だけど....」


重い空気が漂い、沈黙がしばらく続いた。静華は少し溜め息を吐き、周りをキョロキョロと見た。


「それにしてもやっぱりあなたの部屋は落ち着くわね。この後のことを考えて雰囲気作りで何か匂いをつけてるの?」


「...相変わらずだね。私は友達って認識じゃなかったの?」


「私は友達のようであり恋人のような関係が一番好きなの。あなたもそうなんじゃない?」