「え....嘘...嘘でしょ?....静華...静華ぁ!嫌だよぉ!あっ!」


這い寄ろうとした依奈の背中を享吾は踏み付けた。見下ろし、返り血で頬を染めた享吾は金槌を大きく振り上げる。


「お前うるせぇ。うん、うるさすぎて耳障りだ。ぴーぴーぴーぴーと。さっさと死ね。」


享吾は金槌を振り下げた。その金槌が自分の頭に当たるでろうところで、依奈は目を瞑った。
だが、痛みはいつまで経っても来なかった。

依奈はゆっくりと目を開けてみると、ギリギリのところで金槌は止まっていて、プルプルと動きながら引き上げていく。

享吾はプルプルと痙攣していた。血管を剥き出しにしながら必死に動こうとしていたが、何故か動けずにいた。その原因は章太だった。章太は先ほどより近付いていて、片手を享吾にかざしていた。

すると、享吾の身体が後ろへと吹っ飛ばされた。崖前の樹木に背中を強打し、享吾は悶絶した。章太は相変わらずの無表情で享吾へ近寄っていく。

享吾は崖に追い詰められ、背中を抑えながらも何故か笑を零した。


「はぁ....はぁ...くく、章太...."怨返し"だったか?ようやく俺に復讐出来るな。くくく...良かったなぁ。目的果たせそうで。....まぁ無理なんだがな?」