享吾が喋っている途中、依奈は急に崩れ落ちた。享吾が髪を引っ張っていた力が緩んだのだ。
享吾は後頭部を抑えながら、前の方へとよろけ、後ろの方を見て睨み付けた。

依奈はその目線の先を見てみると、そこには中々太い木の棒を持っていた静華の姿があった。涙を流し、フーっフーっと興奮している動物のように息を荒らして睨みつけていた。


「....え?...し、静華...」


「あんたね!!裕子を殺したのは!あんたの仕業なのね!!」


依奈は耳を疑った。裕子が死んだ、そのワードが頭の中を動き回る。依奈は享吾の方へ目線を向けると、享吾の表情がそのワードの信憑性を明らかにしていた。


「あ?だからなんだよクソアマ。俺の命令逆らって立ちはだかったあいつが悪いんだぜ?」


「っ!やっぱり!!....ふざけないで!人の命をなんだと思ってるのよ!!」


静華はギリギリと歯ぎしりをして、今にでも飛び掛りそうな勢いだった。だが、静華の木の棒に対して享吾はカッターと金槌。明らかに分が悪かった。


「や、やめて静華...殺されちゃう....逃げて...」


静華は依奈にはちらっと目線を向けるが、すぐに享吾の方へ向けて、木の棒を強く握りしめる。


「私はね、こんな性格な上にレズ。女学園に私の居場所なんて無かった。近寄ってくる人はいないし、途中まで仲良く話してた人も私がレズってわかった途端に距離を置かれた。