"今度は僕がちぃちゃんを守る番。
僕はちぃちゃんを守れる存在になりたいんだ。"


自分の意思を伝えることが苦手で、臆病だった章太の一言。その言葉の重み、その言葉に対する想い。それが今になってようやく気付く。

胸が締め付けられ、涙で視界は埋まって行った。情けなく、悲しく、辛く、依奈は大粒の涙を零した。


最初から...原因は私だったんだ....章ちゃんがいじめられたのも...死んじゃったのも....復讐の道に進んじゃったのも全部...全部私のせいだったんだ....章ちゃんは私を守ろうとしてくれただけなのに...私は、なんて酷いことを....


「うう...ううううう....章ちゃん...ごめん....ごめんなざぁぃ...」


遅すぎた、あまりにも気付くのが遅かった。依奈は自分を殺してやりたいくらい憎んだ。無力な自分を、気付こうとしなかった自分を、そして臆病な自分を。

享吾はそんな依奈を見て、嘲笑った。夕暮れの静かな山の中で享吾は大声で笑った。


「くはははは!!おもしれぇなぁ!!くくくく!大丈夫だ千澤〜。てめぇはきっちり殺して罪の償いさせてやんぞ〜感謝しろよ〜?」


依奈は享吾を睨んだ。それに対して享吾は笑みをとめない。むしろどんどん笑っている。


「殺して....殺してやるぅ...ううう!!」


「章太みたいに幽霊になってから出直せや。くはははは!まぁできたらだけ」