「くくくく...さて....それはどうだろうなぁ〜?千澤ぁ〜?」
享吾は依奈の頭を持って、章太の方へ無理矢理目線を合わせた。
依奈がぼんやりとした視界で目にしたのは、自分が想像すらしていないことが起きていて、意識が徐々にハッキリとしていった。
章太は何故か歩くのをやめていた。享吾に言われた通り、ポツンと立ち止まり身体のどこもピクリとも動かさない。まるで、人形のように章太は立っていた。
依奈には理解できなかった。何故享吾の要求に章太は応じたのか。自分も恨みの対象、享吾も殺せて一石二鳥の状況なのになぜ止まるのか。
依奈はワケもわからず動揺仕切っていた。
「...え?な、なんで....章ちゃん...」
「あ?てめぇ...知らねぇのか?まぁ知らなくて当たり前かぁ?くくくくッ!」
「...何が....どういう...」
享吾は依奈の頭を持って自分の方へ向けさせた。享吾は依奈と息の音が聞こえる距離のところで、いつも以上に口角を上げて、嘲笑うかのような表情になる。
「くくくく...冥土の土産に教えてやるよ千澤ぁ〜。
章太が俺達三人にいじめられた理由はな....
お前を守るためだったんだよ。」
享吾の口から出た言葉は混乱状態の依奈の頭を更に掻き乱した。言葉の意味が理解出来ず、グルグルと頭の中は渦を巻いていた。
「...え?....なに...それ...」



