「よう千澤。相変わらず気に食わねぇ顔してんなぁ?」


享吾は依奈の髪の毛をパッと離し、依奈は当然また崩れ落ちた。享吾は倒れた依奈のお腹目がけて思いっきり蹴りをくらわした。
依奈は身体をくの字にして、口から血反吐を出した。


「バッ!...ゴボ....」


「なぁ千澤。てめぇ、清都と来希殺した犯人知ってんだろ?答えろ。知ってても殺す。喋らなかったら痛め付けて殺す。どっちか好きな方を選ばしてやるぞ?うん、選べ。」


依奈は応答出来ずにいた。金槌で頭を叩かれ、思いっきり腹に蹴りが入ったおかげで、依奈は悶絶するのが精一杯だった。
そんな依奈の姿を見て、冷徹な顔から血管が浮かび上がっていた。


「あぁ?「ううううう」言ってても分かんねぇぞ?本当に人の話を...」


享吾はいきなり後頭部を手で抑えながら、頭を下げた。どんどん血管がピクピクと浮き上がってきている享吾の姿を見て、今享吾の見に何が起こったのか依奈は理解するのに手間はかからなかった。


「....痛ってなぁ〜。てめぇがさっさと答えねぇからこうなんだろうが〜。おい千澤ぁ〜。さっさとこた」


享吾がピタリと喋る口を止めた。ある一点の方を凝視し、先程まで浮き出ていた血管はスっと消えて無くなっていた。