────────────────────




静華が離脱して翌日の昼、依奈と裕子は見慣れた住宅街を二人で歩いていた。美苗に二人は連絡したが、返信が来ることは無かった。

今はクラス全員自宅待機とのこと。それもそのはず、自殺者が出てからわずか数日で三人の生徒と一人の教師が亡くなっている。
警察も総動員で捜査を行っていた。

それぞれの親も我が子を守るため、外出は絶対的に禁止している家庭が最早普通だ。


だが、依奈の場合は親はまだ実家でグロッキー状態。今日の夕方には実家から祖母が家に来る話になっていた為、昼はフリーだった。
裕子の家庭は両親共働きで、家庭内の裕子はとても真面目だった。我が子を信頼して仕事へ出たが、裕子は初めて親の信頼を裏切っていた。

そうまでして、二人の向かう場所。
それは章太の家だった。

呪いの根源を探すため、二人は章太の家に向かって足を進めていた。

数分後、依奈達は章太の家の前にいた。玄関には警察がつけたであろう"立ち入り禁止"の黄色いテープで邪魔されていた。

依奈達は玄関からは行かず、裏にある隠し通路から家の中へ侵入した。
当然、裏口の鍵のありかも依奈は知っている。難無く開けて家の中へ入った。

家の中は依奈が母親と来た時のように、綺麗な状態になっていた。
ふと、あの時の母親の涙を思い出し、心がギュッと苦しくなった。