だから、章太の件も享吾は全く悪いと思っていなかった。最後まで抵抗出来ず、弱者の位置にいた章太が悪いのだと確信していたからだ。




享吾は見つめている本をビリビリに破くと、竜が置いていった紙袋へ捨てた。
あの時、思い出の本をビリビリに破かれたような感覚に享吾は浸っていた。


少しでも読書しようとか思ったからこうなんだよ...弱い自分に戻ろうとしたから、跳ねっ返りに好き勝手されちまうんだよなぁ〜。うん、やるしかねぇよな〜....俺は弱者になって二度となんねぇよ...


夕暮れの日差しが病室を照らす。世界が淡いオレンジ色に染まっていく中、一人だけ真っ黒に染まっていった。