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依奈の中で一番後悔する思い出、依奈は涙を静かに流す。
そんな依奈の心情を知らない京吾は、蹴りを止めて依奈の耳元で囁いた。


「俺達はアイツをいじめた。だが、お前は見殺した。俺達と殆ど変わらねぇよな?その上、見て見ぬふりしてたくせに歯向かいやがって。
第三者で安全な場所から見てて、いざとなったら批判。卑怯者の象徴だな。」


章太を失い、あの時勇気を出せなかった依奈にとって、その言葉一つ一つがナイフを刺されるかのように痛かった。


「お前は人殺しだけじゃなく卑怯者。人間の本当の屑。あのゴミのことでその汚ぇ涙を流すなら尚更。お前は史上最底辺の逃げ腰の人殺しだ。」


"お前が言うな""お前の方がそうだろ"誰もがそう思う。だが、誰も逆らえない。依奈も同様。だが、依奈は反撃する気力は残ってはいなかった。


「お前ら!逆らったら分かるよな?ターゲットにするのと、報復だ!もし、俺達がお前達の証言で少年院に入ったら、速攻だ!引越しとか逃げる時間も与えない。地の果てまで追い詰めて報復するからな。分かったか!!?」


京吾の怒号と気迫に全員が震え上がり、頭を縦に振ることしか出来なかった。
まるで独裁者、圧倒的な支配者だ。