「え?でしたらなんで...」


「逆に他がいねぇんだよ。それにあいつは竜の幼馴染らしいじゃねぇか....それ含めよ。
お、噂をすればってやつだ....」


廊下の奥の病室からガタイがいい男が不機嫌そうに出てきた。そして、二人のことを目にすると、疑いながらも目を鋭くし、睨み付けた。
二人はその目線に反応しないように竜とすれ違い、竜は近くの階段を降りていった。


「...ぶはぁ!いやぁ〜あんなガン飛ばされたら普通ならビビって動けないっすよ....はぁ怖かった...」


「何ビビってんだ情けねぇ...お前それでも警察官か?」



「でも丹沢さん、いいんすか?現役バリバリの暴走族総長を目の当たりにして無視するような事。」


二人は病室前で立ち止まり、迎え合わせになって丹沢は長口へ話した。


「あいつは噂じゃあ麻薬の運び屋をやってんだよ。」


「え?麻薬っすか?」


「あぁ。なんでも良くしてもらってるヤクザに仕事として預けられてるらしくてな。港から地方までバイクに詰めて持ってってるんだと。どうせ捕まえんなら、そっちの方がいいだろ。
まぁこんな話はいいとして、ちゃんと事情聴取のメモしろよ?」


長口は手帳を構えながら頷いた。
丹沢は数回ノックをして、病室へと入った。