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白く長い廊下で二人組の黒スーツの男性が堂々と真ん中を歩いていた。廊下に並ぶ一つ一つの部屋番を確認しながら、ドンドンと進んでいく。
すると、少し背の低めの方が手帳を持ちながらもう一方に話しかけてきた。
「あの丹沢さん...今回の事件....どう思います?」
「あ?どうもこうもねぇよ全く...周りのアリバイは完璧な上に死体も説明出来ない。早くもお手上げ状態だな。今回の事件は相当時間使うぞ。」
「でも、西村 享吾に話聞くのは意味ないんじゃないんすか?彼は事件当日から病院ですし、イジメの事もあり逆に狙われる可能性があまりに高い。」
丹沢は歩きながら後輩である長口に人差し指を向ける。
「だからよ。被害者だからこそ加害者を想像出来るってもんさ。まぁてっきり最初は佳川 章太の幼馴染の千澤 依奈、あるいは親の千澤 花梨かと思ってたが、明らかにあれは女の子の力じゃ無理だし、アリバイは完璧だ。
あったとしても他人の力借りてて、自分の手ではくだしてないわ。」
「ま、まぁそうですよね...俺、未だに名倉 清都の死体トラウマレベルで....うっぷ」
「バカ野郎。病院で吐いてどうすんだよ。あんな死体は俺も初めて見たけどよ、慣れる努力もしてみろ。ったく...
まぁ、俺だって西村 享吾の事情聴取なんざ無意味にすら思えてくる。」



