黒い服を着用している大人達の列に制服姿の依奈は加わっていた。依奈だけではなく、クラスメイト全員が並んでいた。
久しく会うクラスメイト。会話の一つや二つが出てくるのが自然だが、参列している人達は誰一人として無駄口をすることは無かった。

大きな会場まで列が進むと、目の前には大きな城の彫物に多くの花、そして中心には章太と章太の母、善子の二つの写真が飾ってある。

お坊さんのお経が聞こえ、線香の匂いが鼻を刺激する。
お経が唱えられているのにどこか静かな悲しみに包まれた会場に依奈は踏み込む。
周りの親族は涙を浮かべ鼻すすりする音が聞こえる。写真に近付くにつれ、依奈は逃げ出したくなっていた。

自分がしてしまったことを忘れていた訳では無い。改めて突き付けられると、その罪の大きさに押し潰されてしまいそうになっていた。

依奈は最前列へと行く間に昨日の出来事を思い返していた。


清都が転げ落ちていく音を聞いて足が再び動き出した。鳥居を抜け、石階段の上から除くと、血だらけの清都に泣きじゃくる母親。
依奈に追い付いた静華達はその残酷な状況に絶句した。

気になって追いかけてきた清都の兄も、状況見るからに血相変えて駆け下りて行き、依奈達もそれに続いた。