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辺りは完全に闇で覆われた。どこに自分がいるかもわからない。だが、清都は必死で逃げていた。後ろをチラッと確認すると、そこには暗闇だけで、人の気配は無かった。清都はブルブルと血だらけの腕を、暗闇へ伸ばすが何も無い。

その時、清都は章太から逃げ切ったという安心感に包まれ、全身の力がプツリと切れてその場に倒れた。

だが、倒れた先に映ったものは地面だけではなく、白い足も映っていた。
清都はガチガチと歯を震わせながら目線上げていく。

そこには自分を見下ろす章太の姿があった。



「ああ!ああああああ!!やだ!嫌だァ!!」


清都は再び全身に力を入れ、横へ逃げようする。だが、何かがその行く手を阻んだ。
それは壁、行く手はどこかの壁によって邪魔をされた。

章太がゆっくりと、近付いてきて清都は背中を壁に預け、手を振って抵抗するしか無かった。



「やだ!嫌だァ!死にたくないよぉ!ごぼっ...やめろ!やめろよ!じょうだぁぁぁ!!」


「清都君....それは...ないよ...君は...僕を...散々痛め....つけたのに...こんな程度で...参っちゃう...なんて...まだまだ...夜は長いのに...」


「ばるかった!!悪がったがら!!やめでぐれ!!殺さないでくれ!!」


章太は泣き叫ぶ清都を見て、ニヤニヤしながら首元を触った。首に残された首吊りの後はピンク色になっていた。