そうなるはずだった。
瞼が完全に閉じる間近で、母親の顔の横には不敵な笑みをしながら立っている章太が映った。
消えゆく清都の意識は圧倒的な恐怖によって目覚めた。そして生への執着が溢れ出た。
「あ....ああ....あああああああああああああぁぁぁ!!!!!死にたくねぇ!!ゲボっ!じにだくないいいいいいいい!!!」
清都は母親を押し倒すと、反対側へと走った。全身が軋み、痛みが増す。転んでしまいそうになるが、章太が追ってきているのが感覚で分かり、死に物狂いで逃げた。
清都は感情で動いていた。章太に殺されたくない。来希、維新のような結末を迎えたくないという感情で清都は暗闇の中へと消えて行った。



