怨返し─赦されない私の罪─


静華は動揺を隠しながら、一歩前に出て対応した。静華の返答を聞いて、清都の兄はホッとした表情になった。


「あっ、そうですか!いやぁ〜今日は本当にすいませんでしたね。実は清都の高校で自殺しちゃった生徒いたもんで、噂によるとイジメが原因みたいでしてね。家の清都が関わってたら本当にどうしようって不安で仕方が無くて、ついつい声荒らげちゃいましたよ。

あっ、今度なんか菓子でも持ってくるんで、その時はよろしくお願いしますわ。」


清都の兄は外見によらず、礼儀正しく深く頭を下げた。そんな姿を見て依奈達は心苦しい限りだった。


こんないい人の気持ちが...全くといっても良い程に報われてないなんて....口が裂けても言えない....


依奈は心の中で何故だかこっちまで頭を下げてしまう気持ちになった。
そんな事も知らない清都の兄は頭をゆっくりと上げて、ニコッと笑った。


「じゃあ!自分はこの辺で。本当にすいませんでした。」



「あっ、ちょっと待ってください!」


帰ろうとした清都の兄をギリギリの所で依奈は引き止めた。
不思議そうな顔をしながら、清都の兄は戸を閉めるのをやめた。


「ん?なんですか?」


「あ、あの....なんでここに清都がいるって分かったんですか?」