怨返し─赦されない私の罪─



眠ってしまうのかというとそうではなかった。落ちるか落ちないかの境目、ハッキリとはしないが意識は合った。
ウトウトして、頭が左右へとゆっくりと動いていく。

お経の言葉が分からなくなり、店内のBGMのようにお経が読まれていると言うことだけ認識していた。


それが数分続くと、肩をぽんっと叩かれ、反射的に目を開けた。静華の祖母は酷く息切れをしていたが、ニコッと笑っていた。


「はい、おしまい。どうかしら?何か変化はあった?」


依奈は自分の身体を神経張り巡らせて確認してみたが、特に変化は感じられなかった。
他の三人もいまいちという印象だった。


「やっぱりね...一発じゃあ変化もないわね....私は静華のようにオーラ見えるわけじゃないけど、長年やってて分かる。これは執着心の塊見たいな感じがする...
ごめんね静華、対した力になれなくて。」


「いいのよおばあちゃん。効果は少なくともあったわ。ほんの少しだけ弱くなった気がする。寺の中だから残り香みたいなものだけど。」


静華の祖母は壁際に置いてある棚から四つの袋を取り出し、一人一人に手渡しをした。


「?これはなんですか?」


「お守りよ。あなた達、取り憑かれている幽霊の悪いことされてるんでしょ?これを持ってるうちは多分大丈夫だから持っておきなさい。」