「て、てめぇ....もう少し落ち着いて開けられないのか?」
「"てめぇ"?つい数十分前まで泣きじゃくって、命の恩人になるであろう私に"てめぇ"...ね。余程偉いのね。」
「....チッ....」
「いい加減自覚したらどう?あなたのその傲慢な態度が今の状況。あなた自身ではなく周りの人まで巻き添えにしてるのよ。依奈が言い出さなければ、私はとっくにあなたを見捨ててるわね。」
「...悪かったよ....」
清都は目線を逸らして渋々謝罪をする。
静華はそんな清都をゴミを見るかのような表情をし、大きくため息を吐いた。
「...支度出来たから着いてきて頂戴。」
静華は相変わらず、どんどん先へと進んで行った。依奈達は静華の後について行くと、住居の横にある寺へ移動し、そこには静華の祖母が巫女さんのような服を着て待っていた。
「こんにちは。さぁ、早いとこ始めましょうか。皆さん一列になって正座しててくれる?目を閉じて、リラックスしてね。ほんの数分で終わるから。」
依奈達は言われるがままに正座をして、視界を遮断した。
暗闇の外では早速呪文のようなお経が聞こえてくる。そのお経を聞いているうちに、依奈は暗闇に意識を引き込まれていく。ずんずんと深い所まで引き込まれ、自然に肩の力がスルスルっと抜けていく。



