清都は下を向いたまま黙っていた。何を考えているのか、依奈は分からなかったが、少なくとも前のような自己中心的な考えは無くなっていると察していた。
裕子は清都を気にしながらも、喋った。
「そういえば....なんで維新君...章太君に殺されちゃったの?」
「知らねぇよ....でも章太のやつ..."おんがえし"とか言ってた....」
「おんがえし...ですか?」
「多分、あいつ自分がやられたことをやり返してんだと思う。来希は罰ゲームになるとよく虫を食わせてたんだ。維新は噂でしか聞いてないが、俺達の腹いせにあの川で暴力をふるってたらしい....」
聞くだけでも腹立たしい内容に依奈は握り拳を作っていた。言葉ではああ言っていたものの、やはり憎い。
そこで美苗は顎に手を添えながら、考えるかのように言った。
「じゃあ先生は?先生はなんで首吊りで死んだの?静華はそう言ってたみたいだけど....」
「もしかしたら何もしなかったからだと思う。ずっと何も言わずに見てるだけの人には自分と同じ目にあえばいいのにっていう章ちゃんのメッセージだと思う。」
「じゃあきっと私も裕子もそうだね....」
美苗は気まずそうに言うと、部屋は再び静寂に包まれた。
しばらくして静華が部屋の戸を勢い良く開けた。四人は肩をビクッと跳ねさせた。



