今までとは異なる清都の姿に困惑したが、依奈自身の気持ちに変わりはなかった。
「助かる道があるかは分からない。だけど、希望はあると思う。章ちゃんの手をあんたみたいなクズにこれ以上汚させはしない。」
依奈が言い放った「クズ」という暴言、いつもなら黙っていない清都だが、それすら幸福の単語に聞こえた清都は、嬉しそうに何度も頭を下げた。
「すまねぇ!ありがと!本当にありがと!」
「ただ、一つだけ条件がある。」
「じょ....条件?」
「京吾とあんたは自分達の悪事を認めて警察へ自首して。心の底からそういう事を思わないと、章ちゃんは絶対に成仏出来ない。」
清都は一瞬戸惑った表情を見せるも、背に腹は変えられないと思ったのか、縦に頷いた。
それを見て静華は深い溜息を吐いた。
「....昨日初めて話をしたけど、やっぱりあなた相当のお人好しみたいね。」
「静華も変わらないじゃん。見ず知らずの私に手を差し伸べるくらいだからね。」
「ふっ...そんなこと言われたの初めての経験よ。まぁ確かにそうかもね、私はお人好しかもしれない。」
「じゃあ静華、早速お祓いしよう。どうすればいいの?」
そう聞くと、静華はポケットの中からスマホを出して操作をする。待つこと数分、静華はスマホを仕舞うと玄関で自分の靴に履き替えた。



