依奈は反対側まで回っている静華の手を指さした。静華はあーっと口で言いながら遠目で見ていた。


「それは....こうすれば、頭が離れなくて安定するじゃない。それに手をさっきつっちゃったの。伸ばしたい意味もあるからそれも我慢して。
あー...ちょっと口元が痒くなってきたわ。赤く腫れてないか、じっくりとこっちを見て確認してくれないかしら?」


そう言って、腕まで回していた手をゆっくりといやらしい手つきで首元まで静華はあげていった。
不覚にもゾゾゾッとして、その手を慌てて掴んで離した。


レズってことは知ってたけど、まさかこんなにも積極的だとは....いや、昨日からそうだったっけ...


「...ふ、二人共本当に勘違いしないでね?私レズじゃないから。普通に男の子好きだから。」


汗を垂らしながら苦笑いでそう話すと、静華はショックな顔をして、わざとらしく目をウルウルとさせた。


「そんな!....酷いわ依奈。もう友達とも言い難い事を昨日沢山したっていうのに...私との関係は遊びだったの?」


依奈はジト目で静華を見るが、静華は演技をとめない。あくまでこの茶番を辞める気は無いと悟り、依奈のため息が更に深くなる。