京吾は章太の頭を思いっきり踏みつけた。ゴンって音が生々しく、依奈は反射的に耳をおさえ目を逸らした。


「お、おい京。流石に頭はまずいって...」



「こんぐらいがいいんだよ!!躾はちゃんとしねぇとなぁ?
生意気な態度と弱音吐いた罰として....最初っからスタートな。後、特典でこの吸い殻。飲めや。」



「マジかよ京吾!お前本当に狂ってんな!ははははッ!」



三人の悪魔のような笑いに、依奈は恐怖を感じていた。目の前の現場に依奈は完璧に圧倒されていた。
すると、京吾に頭を踏まれ、痛みに苦しんでいた弱々しい章太と依奈は目が合った。

依奈はドキッとして、すぐに身を戻した。何もされていない筈の依奈の呼吸は荒れ、疑問が頭でいっぱいになった。



え?なんで私目を背けたの?なんで?章ちゃんがあんな目に遭ってるのに、なんで見てるだけなの?
昔の私ならすぐに飛び出したのに....なんで?なんで?なんでこんなに怖いの?


依奈は恐怖心で心が蝕まれていった。依奈が今までみたイジメのスケールが、昔より圧倒的に酷いことに依奈は圧倒されていた。
踏み出したい一歩が踏めず、足はガクガク震える始末。依奈は自分自身に何が起きているのかも分からなかった。